クオリティ・オブ・ライフ(Quality of Life, QOL) とは、一般に、ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた生活の質のことを指し、つまりある人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念である。QOLの「幸福」とは、身心の健康、良好な人間関係、やりがいのある仕事、快適な住環境、十分な教育、レクリエーション活動、レジャーなど様々な観点から計られる。
またQOLには国家の発展、個人の人権・自由が保証されている度合い、居住の快適さとの関連性も指摘される。
したがってクオリティ・オブ・ライフは、個人の収入や財産を基に算出される生活水準(Standard of living) とは分けて考えられるべきものである。
なお以下においては「医療上におけるクオリティ・オブ・ライフ」について述べる。
QOL に対する取り組みは医療の歴史とともに発展してきた。医療は人を見るものであり医学は病気を見るものだとする考え方があったが、医療も科学的側面が強くなり、「病気は治ったが患者は死んだ」という状態が問題となった。
現状、長期療養を要する疾患、ならびに消耗の激しい疾患や進行性の疾患では、いたずらな延命治療、患者への侵襲が激しい治療を継続することによって、患者が自らの理想とする生き方、もしくは社会的にみて「人間らしい生活」と考える生活が実現できないことが自覚された。このような状況を「QOL (生活の質)が低下する」と呼んでいる。
これに対して、患者自身がより尊厳を保つことが出来る生活を実現することが出来るよう患者に援助を与えることが必要であるという考え方が生じたのである。これを「QOL(生活の質)を維持する、向上させる」などという。
疾患は病名により医学的に定義されるが、障害もしくは合併症状の生活面の影響は、医学的には充分考慮されていない。
たとえば治療行為に伴い生じた運動・視力・食事・排泄などの障害には、それぞれに何らかの合併症名が与えられるが、障害の程度には総じて「QOL の低下」と表現される。また医学的検査で原因が不明瞭な感覚的障害(痛み、痺れ、倦怠感など)では、課題として軽視する傾向がある。障害(合併症状)の影響は患者の生活にとって重要であり、これを QOL としての認識し指標化する医療上の課題がある。
癌などの治療選択や治療評価においては、生存率や縮小率などを指標とする場合が多いが、予後の QOL を考慮していない場合もある。 患者の立場からは、QOL も考慮されることが望ましいが、医療機関や医師、患者本人との価値観の差異などもあり、具体的に言及されることが少ない。最近は、インフォームド・コンセントの普及に伴い QOL の概念が重要視される傾向にある。
疾病の増悪や治療において生じた障害の生活支援として、公的な障害年金制度がある。
インフォームド・コンセント(英語:informed consent)は、「正しい情報を得た(伝えられた)上での合意」を意味する概念。以下、本項では「IC」と略称する。
特に、医療行為(投薬・手術・検査など)や治験などの対象者(患者や被験者)が、治療や臨床試験・治験の内容についてよく説明を受け十分理解した上で (informed) 、対象者が自らの自由意思に基づいて医療従事者と方針において合意する (consent) ことである(単なる「同意」だけでなく、説明を受けた上で治療を拒否することもICに含まれる)。説明の内容としては、対象となる行為の名称・内容・期待されている結果のみではなく、代替治療、副作用や成功率、費用、予後までも含んだ正確な情報が与えられることが望まれている。また、患者・被験者側も納得するまで質問し、説明を求めなければならない。
なお、英語の本来の意味としては「あらゆる」法的契約に適用されうる概念であるが、日本語でこの用語を用いる場合はもっぱら医療行為に対して使用される(医療行為以外については説明責任を参照)。本項でも、以下では医療行為に伴うIC、特に医師を始めとする医療サービスの提供者(以下、医療従事者)と、患者との間でなされるICについて述べる。